弥生3月を迎え、越後にもようやく春の兆しがそこかしこに感じられるようになりました。
社員からの「休暇願い」の申請書を見ても、事由の欄には子供さんの卒業式とか書いてあるのが目立ち、巣立ちの息吹きが漂っています。
万物躍動の季節・・・・!
70歳に達し、やや感性の鈍くなってきた小生にとっても、心浮き立つ、いい季節です。
ところで、半年も経ってからのご挨拶でまことに「恥ずかしながら」ではありますが、昨年の9月に当社の社長職をバトンタッチいたしました。
後任は、当社で30有余年勤務し、経営マインドも充分に成長してくれた佐藤専務が新しい社長として就任いたしました。
57歳、ゴルフの腕前も相当なものですが、会社の舵取りもシングル級を目指して日々刻苦
勉励しておりますので、小生は安堵感を持ちながら窓際に座って、これまでとは違う目で会社の状況を遠望しているところです。
考えてみれば、企業にとって(特に中小企業の場合には)「事業承継・後継者問題」は事業の存続ともからむ最大の「リスク管理」と言っても過言ではないように思います。
全国企業の68.5%、つまり3分の2は後継者不在(未定・未詳を含む)というから、これはただごとではありません。
特に最近は団塊の世代の高齢化が進み、後継者不足が深刻になりつつありますが、単に個別企業の問題ではなく一種の社会問題であり、日本の国の将来の活力にも関わってくる大きな事象であるとも言えます。
企業の終焉で最も多いパターンは言うまでもなく「倒産」ですが、その次に位置するのが「経営者の病気・死亡」を主因とするケースだということはあまり知られていないのではないでしょうか? しかも、その傾向が増加気味だということです。
誰しもが「今日と同じ明日がある」と思いがちですが、突然の経営者不在によって企業の存続が怪しくなるようでは本人はもちろんのこと従業員にとっても大きな不幸であり、また企業の社会的使命にも反することになります。
幸いにして自分自身は至って健康ではありますが、元気でパワーもそこそこ残っているうちに「たすきを渡して」こそ望ましい事業承継と判断し、今回のバトンタッチに至ったものです。
金融機関や仕入れ先の方々にはかなり唐突な出来事であり、一時的ないぶかしさを与えてしまったかも知れませんが、社内の従業員が冷静に受け止め、あまり違和感を感じなかったのは意外でもあり、同時にホッとしたところです。
指揮者が変わればオーケストラの音色も変わってくるでしょう。
2年後に迎える当社の70周年、さらにはその先の100周年さえも見据えて、佐藤・新社長のもとに社員全員が逞しく前進を始めていますので、乞うご期待!
会長 西川 正純