皆さんはコンビニをどのくらいの頻度で愛用されていますかね?
「3食ともお世話になっています!」というような極端な人は例外としても、1週間に一度も利用したことがないという人も珍しいご時世ではないでしょうか。
24時間、街の明かりを灯し続け、全国に5万5千店もの面が網の目のように張り巡らせたコンビニは今や社会的インフラのひとつとして我々の日々の生活の営みに無くてはならない存在となっています。
日本にコンビニが誕生したのは今から40年ちょっと前、1974年5月に東京・豊洲にセブンイレブンの1号店がオープンしました。
山本さんという若いオーナー(当時24歳)が、お父さんから継いだ66平方メートルの酒屋さんを改装しての開店でした。
扱う品目は約2000品目(現在より3割ほど少ない)で、当時一番売れたのは缶詰だったそうですが、独身の男性が惣菜代わりに愛用したようです。
それ以降、ファミリーマート、ローソンなども追随しコンビニの存在感が一気に増したことはご承知のとおりです。
コンビニの元祖アメリカでは、ガソリンスタンドに併設された小型店舗スタイルが伝統的ですが、日本のように市街地に複数の店が密集するような形の例はなく、今や日本は世界に冠たる「コンビニ大国」となりました。
店舗数が5万5千店というのは先ほど述べたとおりですが、全店舗を合計した1ヶ月の数字で言うと来客の数が13億~14億人(中国の人口並ですね)、売り上げだと8000億円~9000億円(1ヶ月ですよ!)、途方もない数字でこれはもうマンモスの世界です。
ボリューム(数)もさることながら、私が感心するのはその業態の変遷ぶりです。
単に生活上の身の回り品の小売だけでなく、24時間営業の特質を活かして 公共料金の収納、銀行ATMの設置、住民票の発行などのサービスを競うようにして拡げ、災害時には食品の緊急供給網の拠点の役割を果たすなどライフラインとしての役割も見逃せません。
近年では高齢者の増加に対応した宅配サービスも手掛け、現代の「御用聞き」 として新たな需要の開拓にも余念がありません。
往年の名画「山猫」のシーンで、主演のバートランカスターのセリフ「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない」が彷彿されます。
しかし物事には「光と影」が在るのも事実です。
コンビニの貪欲なまでの成長は、昔から町内で顔馴染みだった本屋、煙草屋、魚屋、八百屋など多くの個人商店を淘汰していく過程でもありました。
「コンビニ」の意の如く「利便性」の広がりは、同時に日本人の良き風習でもあった「家」とか「家族」というものの求心力が薄れていく軌跡とも重なるように思います。
コンビニのあの眩いばかりの煌々(こうこう)とした明るさ、一方で揺らぎつつある家庭の絆・・・、現代日本の象徴的な縮図のひとつです。