2月下旬、事前のキャンペーンもろくに無いままに始まった「プレミアムフライデー(プレ金)」。
労働生産性を上げて早く仕事を終わらせようという働き方改革の一環のようだが、どうも感心しないな。
月末の金曜日は、仕事を早めに切り上げて午後3時を目途に退社して、買い物なり家族サービスなりに普段とは一味違う過ごし方をしよう、がむしゃらに働いているばかりが能じゃないよ・・・・と、国からのお達し。
ここまでご親切にお世話を焼いてくれる政府のご配慮には感謝した方がいいのかも知れないが、どうも「余計なお世話」のような気がする。
そもそも、小生のような「半分隠居さん」みたいな立場の人間には、別に金曜だろうが月曜だろうが、いつでもプレミアムはエンジョイ出来るのだが、日本経済を支えている地方の隅々に至る中小企業でそんな呑気なことがまかり通るのかどうか?
お得意先へ及ぶであろう迷惑を顧みず「はい、今日は3時でスイマセン」と突っ張り切れば話は別だが、現在の様々な取引慣習の中では、土台無理な話、絵空事に近いことと言わざるを得ない。
考えてみれば、このプレ金なるもの、実施に当たって政府の腹は殆ど痛まない。
つまり国の持ち出しは一銭も無くて、消費を喚起し、労働者には「親切な顔」が
出来るわけだから気は楽なものだ。
旗振り役の経済産業省では世耕大臣が早々と2時過ぎに退庁し、都内の百貨店屋上に特設されたカーリング場でプレーしながらPRに努めていた。
安倍首相は、東京谷中の「全生庵」で座禅を組んだのち、上野公園でミニコンサートや美術館をはしごするという念入りぶり。
国民のうちのどれだけの人が、共感をもってこうした光景を見たものだろうか?
それから1ヶ月。
先週の3月31日に2回目を迎えた「プレ金」だが、早くも失速気味の気配が濃厚である。
たまたま年度末の最終日と重なったせいもあるだろうが、2月の時のような鳴り物入りではなく、盛り上がりの無いまま淡々と通り過ぎた感じである。
消費喚起とは言いながら賃金の上昇を伴うわけではないので、仮に多少のプレ金効果があったとしても、実態は他の日の買い物や消費の先食いだろうし、何よりもその時間を楽しむ人が居れば、片方ではそのためのサービスを提供するために働く人が必要なわけで、光と影が混在することになる。
今から40年以上も昔、ヨーロッパに駐在していたときにビックリしたのは、
日曜日になると公共機関はもちろんだがデパートとかあらゆるお店が閉店になって、買い物ひとつするにも不自由したことである。
日曜日は安息の日として、家族とゆっくり過ごす・・、この徹底ぶりには国民性の違いとかを超越して感心してしまった。
プレ金とかいうチマチマした旗を振るのもいいが、大きなうねりにするためにはもっと本質的なところから根こそぎ変えなければ日本人社会のライフスタイルの変化にはつながらないと思う。
一年も経つと、「プレ金・・? そういえばそんな言葉もあったかな・・」という
線香花火になってしまうのではないかと余計な心配もしている。
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